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16ビートアザラシフェス。アザラシは出演しないし16ビート以外のビートにも溢れているが、出演バンドはとにかくライブが格好良い!Emu sickSの4人が自分たちの耳で目で確かめて、「ライブを観て痺れた!」「ライブが強い!」「皆んなに見せたい!」と心から思った選りすぐりの21+2(コンピのみ参加)バンドを集めた渾身のフェスです。そんな出演バンドのことを、メインでブッキングしたEmu sickSのドラマー、16ビートはやおが魂を込めて紹介します!

前半は五十音順に、Acid clankからTHIS IS JAPANまでをご紹介。後半は東京から召喚のTRY TRY NIICHEからスタート!

 インタビュー:小倉 陽子

 

――TRY TRY NIICHE(トライトライニーチェ)のことはどうやって知ったんでしょう?

​16ビートアザラシフェスインタビュー【第4回】

 16ビートはやお​による出演者紹介 〜後編〜

 「売れる前から、知ってたし」というアーティスト紹介のツイッターアカウントの、中の方がTRY TRY NIICHEのことをずっと好きって言っていて。何だったかのオーディションにTRY TRY NIICHEが勝ち上がったときにとても喜んでいたので、その応援の熱を感じていたし、きっとめっちゃ良いバンドなんやろな、と思ってその存在を知りました。僕もYouTubeで観たんですけど、サカナクションにルーツがあるのかな?と思いながらも、すごく洗練されているなと思っていました。去年の11月にメランコリック写楽とflower in the vasementとのスプリットツアーで大阪に来ることになって、そこで初めて対バンさせてもらったんですけど、YouTubeで聴いていて好きだった『Cガール』って曲をライブで聴けて、撃ち抜かれましたね。曲の感じは、僕の中では都会の情景が浮かびます。

 

――音の感じが好きだったんでしょうか?

 

 それはもちろんそうですし、音はシュッとしているけど、やっぱり人がすごく真面目なんやなと思うんですよ。対バンした日、めっちゃライブ良かったなと思って話しかけにいったら、今日ダメだったんですよね…って納得いかなかったみたいで。そういうところも、ちゃんとしたものを提供しようと思っているのが伝わります。活動も、自分たちの信念で動いて自分たちで切り盛りしているのが見えるので、そういうところも良いと思って呼びました。

 

 

――次はBermuda△(バミューダトライアングル)ですね。どんなバンドか全然知らなかったとき、名前から何故かすごくゴリゴリしたいかついバンドだと、勝手に思っていました。

 僕もそう思っていました(笑)でも実は、全力でバカなことやっているなっていう感じで、聴いたら頭空っぽになれる、底抜けに明るいバンドです。3人とも、ライブ中常に楽しそうですしね。「踏まれたい踏まれたい…」(『マゾヒスト』)言っているし、オレオレ詐欺を引っかける方の人の曲を書きますし(『オーレ!オレ詐欺!』)。ただただ単純に楽しめます。逆にそういう風に出来るバンドって少ないんじゃないですかね?

 

――表現をしていたら我を出したくなりますよね、普通。

 

そうそう、「メッセージ性」とか「雰囲気」とかを出したくなると思うんですけど、そういうバンドとは一線を画するところで戦っている、そういう楽しみ方もあるんやっていうことを教えてくれるバンドです。それを一貫してやっているし。アー写では目立っていないんですけど、ベースの岡田さんが一番バグってますね(笑)実は年齢も同じで、福岡には本当に同世代で音楽的な精神が好きやなって思うバンドが多いです。

 

――世界のザキ(1枚目の16ビートアザラシコンピに参加)も福岡ですよね。

 

世界のザキも大好きですね。彼らもすごく良いバンドなんで。福岡、本当に良いバンドが多いのでこの機会に是非大阪でも観て欲しいです。Bermuda△は、あの娘はウォンバットとか聴こうと思っている人なら近い感じで楽しめると思うし、逆っていうかAcid clankみたいに重厚な音楽を聴いた人がこういうのをスカっと楽しむのも面白いですよね。色んな方向から楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

 

――では次はハンブレッダーズ

 ハンブレッダーズはもう何も言わなくていいでしょ!「良いバンド」とだけ書いておいてもらえたらそれで事足りると思うんで(笑)

 

――説明不要の良さがありますよね、じゃあ割愛…という訳にはいかないので、そこを何とか。

 

 最近すごくお客さんを鷲掴みにしているなって、僕も思っていますし、周りからも聞きます。「スクールカーストの最底辺から青春を歌いにきました」っていうキャッチフレーズが、彼らのやりたいことを全部物語っていますよね。そういうことを感じていた人がライブを観て撃ち抜かれていっていると思います。

 

――しかも男子だけじゃなくて女子にも響いていて、性別も年齢も問わず、全ての人の青春に届いている感じがしますよね。

 

 確かに、誰の青春にも響くものがあるんでしょうね。吉野くん(Gt.)のギターがすごく良いし、でも全員の感情の出し方がすごくキレイなんですよね。先日の『下北沢SOUND CRUISING』でも良いライブしていてね。最前列の人が泣いていたんですよ。それを見て、吉野くんがエモくなり過ぎてメガネ外したらしいですからね。これ以上見えたら感情爆発して危ないって。それだけお客さんの気持ちを揺さぶるし、それにも応えているし、多くの人に支持されて然りだと思います。メンバー全員音楽が好きやから、サウクルのあらゆる会場でも彼らを見かけたし、そういう真面目なところもひっくるめて全部抱きしめたくなります。

――続いて百長(ひゃくちょう)。百長とはどうやって繋がったんでしょう?

 去年の11月にStep forwardっていうseiさんのイベントで対バンしたんですけど、元々大善が名古屋に住んでいるので何回かライブを観たことがあるみたいで、良いとはずっと言っていたんですよ。実際観たら思ったより渋かったし、大砲みたいな音が飛んでくるし、ただただ格好良いなと思いました。もうそれ以上物申せない、みたいな説得力のあるライブするので、メンバーでも満場一致で呼ぼうってなりました。

 本当に出す音に嘘がないというか、自信に満ちた音がするので、シンプルに格好良いと思っています。ブッキングのときって、バンドの色とかキャラとかそういうのも少しは加味してしまうんですけど、百長は本当にもう音だけで選んだ、それだけで素晴らしいと思えるバンドです。

 

 

――そして先ほども名前が出てきたflower in the vasementですね。

 前述のTRY TRY NIICHEとメランコリック写楽とのスプリットツアーのときに、予備知識なしに観たんですけど、ライブ観てとにかく単純に良かったんです。彼らも本当にすごく良いバンドなんですけど、あんまり大阪に来たことないんじゃないですかね?だから、こんなバンド知ってる?って、何ていうか見せびらかしたいし、僕、こんなバンド知ってるねん!って自慢したくなるようなバンドです。エレクトロニカな要素を含んでいるんですけれど、相反してリズムが非常に肉弾的なんです。無機質な音と有機質な音がぶつかるとこんなに奥深い音楽ができるんだ!って感心しながら見ていました。このフェスの中では異彩を放っていると思うんです。あと、関係ないですけど、最近9mm Parabellum Bulletと対バンしていましたね。9mmとも全然ジャンルが違うと思うんですけど、そういうところに出ている、通用するっていうのも実力が裏打ちされていると思います。

 

 

――次はペペッターズ。一見接点無さそうにみえるんですけど…。

 でも、周りからEmu sickSと対バンしてそうと言われていたこともあり、過去に僕らの企画に出てもらったんですよ。そのときにライブで観てメンバー全員撃ち抜かれてしまったっていう。もう口半開きになって観ていましたね。化け物でした。「悔しい!でも好き!!」みたいな(笑)音楽性としてはペトロールズにルーツがあったりして、そういうところも格好良いんですけど、何よりペペッターズにしか出来ない職人気質を感じますね。けれど決してとっつきにくいわけではなくてどんな人にも好かれる音楽で、今まであまり出会わなかったタイプのバンドです。ちなみに、コンピには『アザラシ』って曲で参加してくれてるんです、その心意気(笑)しかも新録で入ってくれるんですよ!本当に優しい。玄人集団だと思うので、スタジオでああでもないこうでもないって言いながら曲つくったりしてるのを勝手に想像していますね。ちゃんと音楽の現場で叩き上げられた音楽だから、ジャンルとかじゃなくて人を動かすと思っています。あと、関係ないけど彼らめちゃくちゃ酒を飲みます。

――南風とクジラは、16ビートアザラシフェスの自分たち手売り特典として、Emu sickSの『トランジスタ』のカバーを付けていますね!

 ああ、もう本当にええ子ら(笑)自分たちが呼ばれたイベントに、どう能動的に絡んでいこうかってちゃんと考えて行動しているところが馬力ありますよね。『神頼みフェス‘17』のときは、三角公園に自分たちで台車ステージっていうのをつくって、台車の上でライブしたりとか。バイタリティが凄い。僕らは人見知りなのでそういうこと出来ないタイプなんですけど、自らしっかりと表現していくし、ライブを観ても「練習しているな!」っていうバンドですね。ライブの中身もすごくよく考えられていて、持っていき方が上手いですし、そのライブの良さがあっての全員がキャラ立ちしている感じが愛しい。とにかく一度ライブを観てもらったら、僕の言っていることが一発で分かると思います。あと、世のバンドマンは彼らの返事の速さを見習って欲しい!(笑)本当にちゃんとしていて、お手本になるようなバンドだと思います。

 

 

――次はメランコリック写楽ですね。なかじんさんが結構な頻度でメランコリック写楽のことツイートしているイメージです。

 Emu sickSのメンバー内でも度々話題に挙がるバンドですね。東京で初めて僕らの企画をしたときに、共催のイベンターさんが声をかけてくれたのが出会いですけど、良い意味で最初は舐めてしまっていましたね。多分、相対性理論っぽいってすごく言われると思うんですけど、曲が格好良いし、構成も凝っているし、けれど相対性理論っぽいという先入観からナヨっとした雰囲気でライブするバンドなのかなと思っていたんですよね。でも実際観てみると全然そんなことなくて、思ったよりパワフルで強かったので、良い意味で裏切られました。メンバーそれぞれキャラが立っている上で、ちゃんと練習に裏付けされているのが分かる演奏なので、そういうキャラも演奏もちゃんとしているっていう典型の大好きなバンドです。バンドってやっぱりどちらの要素も必要だと思うので。

 そしてヨコピー(Dr/Cho.)が上手い!ドラミングが野性的で、リズムの取り方も本能で掴んでいる感じがして、こういうバンドには珍しい組み合わせなように思うんですけど、それが面白いです。ももすちゃん(Vo/Gt.)は不思議な歌詞を書きますね。日本語として破綻しているんですけど、声と相まって耳に残るし、意味を汲み取っていったら深いなって思えるんです。やろうとしている戦略と実力とが噛み合っているし、関西にも精力的に来て本当にしっかりバンド活動しているバンドだと思うので。それでいてやっぱり、どこか全員抜けていて愛すべきバカなんですよね(笑)

 

――愛すべきバカがたくさん出演するフェスですね(笑)とても楽しみになってきました。次でフェス出演バンドは最後ですけどレベル27は同世代バンドですよね。

 僕らも結構長いことライブハウスに出ているんで、奥田くん(Gt/Vo.)もオオタくん(Gt/Vo.)もずっと見ているんですけど、やっぱり変化をしていますよね。奥田くんは昔HOLGAっていうバンドをやっていたんですけど、当時は今みたいな明るい感じじゃなくて「死にたい」ってずっと言っているような鬱っぽいロックだったんですよ。怖い人なんじゃないかなと思っていたんですけど、その後のカタナカルテは陽気なバンドでしたね…奥田くんがシュールな笑いに強すぎる(笑)でも、奥田くんは今の自分の現状を背伸びせずに、ハッとするような歌詞を書きますよね。オオタくん(Gt/Vo.)はroot.13として名前が通っていますし、最初は怖い人かなと思っていたんですけど、やっぱり頭が良いというか、ちゃんと考えて表現している人だなって、話してみて分かりました。そんな奥田くんと、オオタくんは対局にいますよね、二人の音楽性は全然違いますし。でも二人のメッセージ性は似ていると思うんです。影の部分を出すのか、明るい部分を出すのかの違いなんでしょうね。あとは…ベースとギターが(笑)玄人やなぁと思いますよね、粒が揃い過ぎていますよね。

 

――よくぞこのメンバーでバンド組むことになったな、っていう感じがするバンドですよね。

 

 本当に、どうやって集まったんやろ…ザ・ドラえもんズみたいですよね(笑)それがひとつのバンドとして成り立っているのが面白い。面白い部分も、グッと掴まれる部分も、音のこだわりの強さも感じることが出来る同世代バンドなので、色んなものを色んな方向から感じ取って欲しいですね。

 

 

 よし、全バンド言えた!!(笑)

 

 

――ありがとうございました(笑)それと、フェス出演バンドではないのですが、コンピに参加しているFINLANDSとミスタニスタのことも紹介して下さい!

 FINLANDSは、本当は出演を考えてくれていたんですけど今回はコンピのみの参加になりました。でもギリギリまで出演できるように考えてくれて、本当にありがたかったです。で、彼女らは考え方が凄いバンクだなって思います。ライブはもちろんのこと人柄も格好良いし、ちゃんと現場で叩き上げられてきた感じがある。女の子だけどライブも言動も男気があって、コンピだけでも参加を決めてくれたところも含めて、僕らはそんな男気に惚れています。フェスでは観られないですけど、コンピを聴いてライブへの思いを馳せて欲しいです。

 ミスタニスタも、元々出てくれる予定ではあったんですけど、学業の事情でバンドが活動休止になったので、フェスの出演もコンピも一旦白紙になったんですよ。ここ数年で一番共感するところが増えたバンドやし、これからミスタニスタがドカンと行くぞ!っていうタイミングの活動休止だったので、僕らもですし、本人達が一番悔しい思いをしていると思うんです。だから、活動再開して帰ってくるための布石を打ちたいという意味でも、コンピには誘いました。

 

――並々ならぬ愛情を感じますね。

 

 だから、帰って来なかったら覚えとけよ!って思っています。帰って来なかったら家燃やすぞ!もしくは僕がギターを弾いて歌うぞ!ぐらいに思っているので(笑)活動休止している間でもコンピで良いなと思ってもらえたら繋ぐことが出来るかなと思っているし、僕らも本当に参加してもらえてありがたいなと思っています。

 

 

――ありがとうございました!フェス出演とコンピ参加を合わせて22バンドの魅力が伝わったでしょうか。あと、最後にもうひとバンド、Emu sickSのことを紹介しないといけませんね。

 僕らのことは適当に書いておいて下さい(笑)でも神頼みレコードのエグチさんには、よくぞこんな芋っぽい奴らがダンスミュージックを…!とは言われましたね。僕ら見た目が全然洗練されていないですから(笑)

 

――芋っぽいは言い過ぎですけど(笑)でも、パリピが苦手で真面目で根暗なEmu sickSが、あんな凄いビートとグルーヴでたくさんの人を踊らせて、ギターリフとメロディでたくさんの人を高ぶらせるってロマンがあるし、ライブハウスに来る色んな客層を拒んでいない感じがして、音楽って平等だなって思えるんですよね。

 

 そんな大それたことはしてないですけどね(笑)背伸びしないでやるのがいいのかな、とは思っています。あとは僕らのことは自分では紹介出来ないので。

 

――呼んでいる出演バンドからも、Emu sickSの人柄まで間接的に伝わるんじゃないかなと思います。フェス当日は可能な限り全出演バンドを目撃したくなりました。本当にありがとうございました!

◆2017/7/22(土) アメリカ村CLAPPER/心斎橋Pangea/FANJ Twice

 「16ビートアザラシフェス」

 OPEN/START 12:30/13:00

 adv/door 2,800円/3,000円(要1Drink代)

[Act]

 Emu sickS / about a ROOM / SAPPY / Tequeolo Caliqueolo / Acidclank

 ぺぺッターズ / メランコリック写楽 / 南風とクジラ / 百長 / レベル27

 flower in the basement / Bermuda△ / The Stone That Burns

 TRY TRY NIICHE / THIS IS JAPAN / ウサギバニーボーイ / 神頼みレコード

 ハンブレッダーズ / スノーマン / いつまでもそのテンポで / あの娘はウォンバット

​インタビュー第1弾
​インタビュー第2弾
​インタビュー第3弾
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